眠りにつく10秒前。

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覚醒までの10秒前。

以前、「安部公房のような天才ではないので夢日記をつけてもつまらない。やめた」と書いたんですが、惰性で続けてます。ただ、こう、あれよね…非常に性的で…フロイト先生の良いモルモットにされそうだなと…。

割と展開のある夢を見てて、物語脳なんだなと思います。文脈汲みたがり人間。「それGIFじゃん」っていう夢の話する人が多いので珍しいのかも?

記憶が曖昧なところから引っ張り出してるので、多少切ったり貼ったりしてます。バリー・ユアグローの二次創作、という地点にも及んでいないんですが。凡人が見るエロチックな夢のサンプルって感じでどうぞ。



父親に詰られる。

笑いながら。

"子供の頃の夢にしがみついて生きてるんだろう"



真っ白い空間。

恋人が父親に強姦されている様を、後ろ手を縛られた状態で見せつけられる。



暗い夏の日暮れ時。大きな空砲。

空を覆う色とりどりの花火。恐怖を感じる。

花火はやがて地上に降り注ぐ。弥生美術館が崩れてゆく。瓦礫の雨の中、髪を振り乱した女の球体関節人形と目が合う。瞬間、燃え盛る火。反射でガラスの眼玉が潤む。無数の炎は真っ赤なビー玉と姿を変える。

母が火事により下半身不随となる。蝉の鳴き声のうるさい、やけにセピアがかった病室。動かないカーテン。私は泣き崩れる。長い脚をミニスカートから覗かせた、ショートヘアの若い看護婦の言葉。

「本当はこうしたいんでしょう」

蝉の鳴き声は消え、視界は真っ黒な画用紙。花火の音と共に、万華鏡のように彼岸花が現れては消える。



薄暗い教室。夕陽が斜めに影を作る。

恋人や、恋人の妹に本を数冊贈られる。矢川澄子、ガルシア=マルケス、『春のめざめ』、フランスのノワール小説、シュトルムの未公開詩篇等。感激を覚える。



赤、赤、赤で埋め尽くされた洋館。まるで巨人の家のよう。

私達はみな子供だった。ドレスで着飾ったり、本物の海賊の装束で暴れまわったりしていた。衣装は様々で、共通するのは毛皮が施された仮面だけ。同期して、チェス盤の上で理路整然と動く精巧な造りの椅子たち。

男の子の持っていた斧が落ちる。音はしない。絨毯の上。誰かが叫ぶ。「水漏れだ!」私達は声の方へ吸い込まれてゆく。 

巨大な窓が開かれる。誰の手によるものでもなく。目に飛び込んできたのは青空だった。地上はない。そして、滝のように激しい放物線を描く雪解け水。ここから産まれるのだという、確信に満ちた気持ちがしみじみ湧いた。シンメトリックな双子の虹の間、空の高い高いところで、小さく花火が上がっていた。



マッチ棒を傾けて遊ぶ。

火はジリジリと指先に近づいてゆく。

剥がれた壁紙の代わりに、僕たちのロックスター、セックスシンボル、聖書が覆う。

「情熱を傾けるべきかどうか」という友人たちの押し問答。

網膜にはりつく熱。ぼやける視界。君の顔はよく見えない。前髪が重くなってゆく。

暗転。明るいロビーのようなところ。汗を吸ったシャツがいやに冷たい。足元に溢れている黒いビー玉。何かを諦めた音が硬く美しい。

ビー玉を拾い上げて、白いワンピースの女の子は鼻先に近づける。指で硝子の音を楽しみながら(足元で鳴っているそれよりも、高く澄んだ音だった)。

「夏の花の匂いがするね」



本、座椅子、鍵など、自室にあるものが巨大化して暗闇で回転している。迫ってきて、押しつぶされそうになるが、その実、私はその物体の中にゆっくりと取り込まれる。やがて、異物として勢いよく押し出される。

宇宙空間の中で太陽となって全てのものを繋ぎとめているものは電車だった。私だけがその引力の恩寵を受けられていない。電車の中で誰かが手を振った。応えなければならない気がした。思ったように身体が動かないので、必死に手を振り返した。車窓から注がれる光が増してゆき、白だけが残る。



レディースコミックの編集者と会う。私は新人作家としてダメ出しを受けていた。目にかかる前髪を気にもせず、彼は意見を続ける。

「あなた方作家の狭い了見によってレディコミの可能性は閉じられ、売れ行きが下がる一方なんだ」と憤慨される。レディコミの売れ行きが右肩下がりとは初耳だった。

気を落として家路につく。外はもう薄暗かった。温い空気が気持ち悪い。はやる気持ちで足早に歩いていたら、柄の悪い男にぶつかってしまった。

夏だというのに黒のスーツ、ネクタイで決め、ポマードでガチガチに頭髪を固めたその出で立ち。また、口調からもチンピラそのものだった。

男はがなり立てる。滑舌が悪いのでよく聞き取れない。何も言い返せず、ただおどおどしていると、男は私の手首を掴んだ。骨が痛い。周囲の人々は遠い目で見るばかり。血の気が引いた。

遠くなっていた意識を私の身体に引き戻してくれたのは、編集者の彼だった。彼は男から私を引き離すと、手を引っ張って一緒に逃げてくれた。今度は手首は痛くなかった。

地下鉄の階段前まで来ると、彼は呼吸を整え、私を叱った。「ぼんやりしているからこういう目に遭う」云々。私は「まるで漫画だな」とぼんやり考えていたが、そんなことを口に出したら、ふわふわと浮かんだ吹き出しを怒号で吹き飛ばされそうだったので、黙って彼のお節介に頷くしかなかった。



外食に出かけた。中華店。ウェイター達が忙しなく歩き回っている。聞き取れない声が飛び交う。中国語だろうか。店の外では、烈火のごとく走る自動車がストライプ模様を作っていた。

濃い化粧をした男性ウェイターが料理を運んでくれる。エビチリを頼んだはずなのに、皿の上には煙草の吸殻だけが載っていた。友人は手づかみで吸殻を掴み、「結構イケるよ」と平気な顔をしている。

「正気かよ」と思いつつ、自分も恐る恐る口に運ぶ。しょっぱい味がした。噛みきれない紙の食感が気になったが、食べられないことはなかった。しかし、二度目は駄目だった。口に含んだ瞬間、苦味が広がって吐き気がした。涙目になって机に項垂れた。毒々しい真っ赤な床を恨めしく思った。



観客のいない小劇場。舞台の上には小道具はなく、役者を照らすスポットライトだけ。役者は自分と男が一人、そしてピンクのカーディガンに白いスカート、ショートヘアの女性。女性は客席を背にしており、こちらからも人相はうかがえない。が、背中にA4サイズのコピー用紙が貼られている。そこには「桃井」の文字。

長い沈黙の後、男が唐突に言った。

桃井かおりの言いなりにはなるな」



情報誌をめくると、小劇場の記事を見かけた。野田秀樹演出の舞台らしい。『みんなひとりぼっち -七実の場合-』。

宮城県新乳群なる地域。24歳にして6回もの結婚、離婚を繰り返した七実という女性が駅に着く場面からはじまる。

6回目の離婚の後、くたびれきった左手の薬指はむくれていた。だから彼女は薬指を切断した。娘の奔放な生活に対して無関心だった父親もこれには激怒した。父親は有無を言わさず、七実修道院に入れることにした。

東京から新乳に下った七実は、まっすぐ修道院には向かわなかった。まず1回目の結婚相手の墓参りをした。彼は高校の同級生で、若くして亡くなった。七実は墓前に切り落とした自身の薬指を供する。

七実は莫大な慰謝料を使って、新乳修道院の真向かいに三楽(サンロク)修道院を新たに設立。新乳修道院との対立、父との確執、そして起こり得るはずのない、七実の妊娠…。

適当なあらすじの最後に「愛は七実にふりむくのか」と派手な蛍光色でキャッチーコピーが書かれていた。主演・メインビジュアルを務めている女性は久保田早紀によく似ていた。